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(7)「AUC」焙煎についての言葉を整理して考える

AUCとは「Area Under the Curve」の略。日本語に訳せば、「グラフ中の曲線で描かれる平面の面積」のことです。

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上図の濃い青色の線がBT(豆温度)の曲線です。上図の場合は、Dry End ( Color Change ) Pointを底辺として、それ以降にBT曲線によって描かれた範囲の面積のことをAUCとして計算しています。

数学的にいうと、曲線で描かれる面積を出す計算のことを積分と言いますね。つまり豆温度の積分値のことがAUCな訳です。これを人が計算するのはなかなか厄介ですし、まして焙煎中に暗算するなんて普通の人には不可能です。でもコンピュータなら簡単にやってくれます(コンピュータの正しい使い方ですよね)。

Artisanには標準で付属している機能で、「構成」→「統計」のメニューに設定欄があります。この記事を読んで興味が湧いた方はぜひ使ってみてください。

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設定画面を見ると、From(いつから):TP(中点以降を対象とする)、Base(底辺は):148度(Dry End、もしくはColor Changeに設定した値)、Target(目標値):110(110になったら教えてね)という項目があり、その通りに計算してくれます。

 

さて、AUCの意味するところは何でしょうか?縦軸に温度、横軸に時間とした場合、グラフ中の平面の面積が表現するものは、<熱量>です。熱量を別の言葉で表せば「カロリー」とか「エネルギー」です。以前説明した通りです。Artsanで計算されるAUCについてもっと詳しく説明すると、設定した時点以降に豆に与えられる(単位質量あたりの)カロリーのことです。

コーヒー豆の焙煎において生じる化学変化は、ガスなどの熱源から与えられた熱によって発生します。焙煎の程度は、「豆にどの程度熱量を与えたか」とイコールです。つまり焙煎の程度は数値で表現できるのです!!しかもコンピュータが計算してくれる!!

と、原理原則的なところはわかりましたが、実際の焙煎においては、「どこをBase(底辺)に設定するのか」は大きな問題です。底辺の設定が違えば、当然数値も変わるので、複数の人との共通理解には繋がらないでしょう。ですので、ベストな設定を検討することは非常に重要です。

(2)「水抜き」「Color Change」の項で次のように述べました。「有機物の複雑な集合体であるコーヒー豆になんらかの化学変化が起きたであろうタイミングが「Color Change」と定義します」

AUCを何に使うかにもよりますが、多くの場合は、焙煎度合いの指標として使用したいのではないでしょうか?だとすれば、豆に何らかの化学変化が生じたであろう時点:Color Change PointをBaseに設定するべきと思います。CCP以前に与えたカロリーは、豆内部への蓄熱に費やされているはずです。つまり、CCPをBaseにした場合のAUCは、豆の化学変化のために与えたカロリー値を意味します。

ここで少し注意が必要です。話の基礎となっている温度(BT)とは、豆温度計の表示する温度であり、厳密には豆の表面温度のことです。CCPをむかえた際に、豆の表面温度と芯の部分の温度に差があると、AUCが表すものは、純粋に豆の化学変化に寄与したカロリーではなくなってしまいます。そのため、出来るだけ表面も芯の部分も均質な温度条件になっていることが理想です。(この辺の話は非常に重要ですので別に記載します)

上記の理想的なパターンを考えた場合、AUCは焙煎度を決定する指標として非常に有用です。何故ならば、様々な要因で変化する(であろう)1ハゼのタイミングに左右されずに、焙煎度合いを決定できるからです。ちなみに私の焙煎の場合は、CCPをベースにして浅煎りの場合AUC=90、中煎りの場合AUC=130程度で考えています。

ただし、ここで注意が必要なのは、AUCが効果的に適用できるのは、浅煎り〜中煎り程度までだということです。2ハゼ前後まで焙煎を深くする場合は、焙煎の終盤は温度変化が少なくなるため、AUCは焙煎時間の影響が大きくなるためです。2ハゼのタイミングがほぼ豆温度(BT)で決定されることから考えると、AUCで焙煎度合いを決めるのには無理があります。深煎りの場合は、温度や時間、もしくはDTR ( Developing Time Ratio )を基準に考えた方が良いのではないでしょうか。


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